特定口座で同一日に同一銘柄(現物株式)を売買した場合、売却の損益計算よりも先に買付の簿価単価(平均取得単価)の計算が行われます。
計算は受渡日を基準に行われ、約定(売却⇒買付)順とはなりません。
また、計算対象残高と計算対象外残高が混在する場合、計算対象(簿価あり)残高から先に売却されます。
その結果、元々保有していた計算対象外(簿価なし)残高からではなく、後から買い戻した「簿価あり」残高から売却されたものとして損益計算が行われ、「簿価なし」の残高が残ります。
以下に、具体的な計算例を掲載します。
<元々の銘柄B(簿価なし)の残高>平均取得単価 | 数量 | 単価×数量 | |
---|---|---|---|
前日保有残高 | ― 円 | 1,000株 | ― 万円 |
約定単価 | 数量 | 単価×数量 | |
---|---|---|---|
当日一回目の約定 (売り) | 1,200円 | 1,000株 | 120万円 |
当日二回目の約定 (買い戻し) | 1,000円 | 1,000株 | 100万円 |
<平均取得単価と譲渡益の計算方法>
1.平均取得単価の計算
元々保有していた1,000株は特定口座計算対象外
1,000円 × 1,000株 = 100万円 …買い戻した1,000株全体の約定金額
この、買い戻した際の平均取得単価1,000円が売却時の損益計算に用いられ、売却後に残る残高1,000株は計算対象外(簿価なし)の1,000株です。
2.譲渡益の計算 計算対象(簿価あり)の残高が売却されたのもとして、損益が計算されます。
(1,200円 × 1,000株)-(1,000円 × 1,000株)= 20万円
平均取得単価 | 数量 | 単価×数量 | |
---|---|---|---|
保有残高 | ― 円 | 1,000株 | ― 万円 |
計算対象(簿価あり)の残高だけを残すには、計算対象外(簿価なし)残高売却の約定日翌営業日以降に当該銘柄を買い戻す必要があります。
あるいは「簿価なし」の残高を特定一般口座へ振替のうえ売却し、買付は特定口座にて行う必要があります(一般口座への振替についてはお取扱窓口までご依頼ください)。
(注)実際には、「売買手数料」、「消費税」等も取得費(取得価額)に含まれますが、上記例では、便宜上これらを除いて計算しています。